イップスに悩む前に。正しいボールの回転を生むスローイングの基本

守備・走塁の極意

「ボールを投げる瞬間だけが怖い」……。当たり前にできていた送球が突然できなくなる苦しみは、経験者にしか分かりません。こうした悩みは根性論で片付けられがちですが、実はその正体は、指先の技術不足による「感覚のズレ」にあることがほとんどです。

この記事は、送球に不安を抱える選手や保護者の方に向けて書きました。現役コーチの視点から、「回転を安定させる握り」や自信を取り戻す「スピン練習法」など、精神論ではない具体的解決策を解説します。

この記事を読めば、不安の根源にある技術的課題が明確になり、もう一度「投げる喜び」を取り戻すための確かな第一歩を踏み出せるはずです。

「練習では投げられるのに、試合になると手が震える」

  • ボールがどこへ行くか分からない

  • 投げる瞬間に体が固まる

  • 「また暴投したらどうしよう」と頭が真っ白になる

野球を続けていると、誰でも一度は「送球の不安」を経験します。この状態が長く続くと、精神的な要因で投げられなくなり、「イップス」につながってしまうこともあります。

でも、外部コーチとして多くの選手を見てきて、僕はある共通点に気づきました。

不安の原因は、メンタルではなく「投げ方の基本」にあることがほとんどです。


「暴投が怖い」の正体は、ボール回転の不安定さ

送球が安定しない最大の原因は、ボールに正しい縦回転(バックスピン)がかかっていないこと。

実際の現場でよくある話

  • 練習では問題なく投げられる

  • でも試合になると

    • シュート回転

    • スッポ抜け

    • ワンバンが増える

こういう選手に共通しているのが「指先がボールの芯を捉えられていない」という点です。

ボールが

  • どこに行くか分からない

  • 毎回違う回転になる

だから脳が「危ない」「失敗するかも」と判断 体が固まる さらに暴投するこの悪循環に入ってしまいます。まず必要なのは「自分の指でボールを操れている感覚」を取り戻すこと。それが不安を消す一番の近道です。

【コーチ直伝】正しい回転を生む3つの基本

僕が送球に悩む選手に、必ず伝えているポイントはこの3つです。


① 「4シーム」で握る習慣をつける

基本中の基本ですが、意外とできていません。

  • 縫い目に対して指を直角にかける

  • 親指・人差し指・中指でしっかり挟む

4シームで握ることで

  • 指と縫い目に摩擦が生まれる

  • 縦回転が安定する

体験談

内野手の選手で「捕ってすぐ投げようとして、毎回握りがバラバラ」という子がいました。

捕球後に、 一瞬だけ4シームを作る意識を入れただけで送球ミスが激減しました。


② 人差し指と中指の「ハの字」を防ぐ

指が開きすぎると、ボールは左右にブレます。

目安はこれ

  • 指の間隔は「指1本分くらい」

  • 最後は
    「2本の指で同時にボールを叩き切る」イメージ

現場あるある

  • 緊張すると指が無意識に開く

  • 強く投げようとして余計にバラつく

 「強く」よりも「同時に離す」を意識するだけで回転が変わります。


③ 「肘」を支点にして、指先まで振り切る

手が震える選手に多いのがこのタイプ。

  • 肘が下がる

  • 手先だけで投げている

  • ボールを「置きにいく」投げ方

改善ポイント

  • 肘を肩のラインまで上げる

  • 肘を支点にして腕を振る

  • 最後に
     指先で縫い目を「切る」感覚

僕がよく言う言葉

「腕じゃなくて、最後は“指で投げろ”」

この一言で感覚が変わる選手、かなり多いです。


自宅でできる「感覚を取り戻す」超シンプルドリル

送球が怖くなっている時にいきなり距離を投げるのは逆効果。まずは「良い回転だけ」に集中する練習から始めましょう。


上向きスピン練習(超おすすめ)

やり方

  1. 仰向けに寝転がる

  2. 真上に向かってボールを約1m投げる

  3. 縦回転で、真っ直ぐ手元に戻るかを確認

ポイント

  • 腕は振らない

  • 指先だけで「シュッ」と回転をかける

  • 回転が崩れたらやり直し

実際の効果

  • 「あ、今いい回転」

  • 「この指の感覚か」

この小さな成功体験が 投げる自信 恐怖心の軽減につながっていきます。

まとめ:技術が、メンタルを支えてくれる

送球が不安定になるとつい「メンタルが弱いからだ」と自分を責めてしまいがちです。でも違います。

  • 正しい握り

  • 正しい回転

  • 正しい肘と指の使い方

確かな技術があれば

  • 「この投げ方なら大丈夫」

  • 「ボールは指にかかっている」

そう思えるようになります。 メンタルは 技術の上に、自然と乗ってくるもの。まずは家の中で、ボールを“操る感覚”を取り戻すところから始めてみませんか?

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