「ボールを投げる瞬間だけが怖い」……。当たり前にできていた送球が突然できなくなる苦しみは、経験者にしか分かりません。こうした悩みは根性論で片付けられがちですが、実はその正体は、指先の技術不足による「感覚のズレ」にあることがほとんどです。
この記事は、送球に不安を抱える選手や保護者の方に向けて書きました。現役コーチの視点から、「回転を安定させる握り」や自信を取り戻す「スピン練習法」など、精神論ではない具体的解決策を解説します。
この記事を読めば、不安の根源にある技術的課題が明確になり、もう一度「投げる喜び」を取り戻すための確かな第一歩を踏み出せるはずです。
「練習では投げられるのに、試合になると手が震える」
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ボールがどこへ行くか分からない
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投げる瞬間に体が固まる
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「また暴投したらどうしよう」と頭が真っ白になる
野球を続けていると、誰でも一度は「送球の不安」を経験します。この状態が長く続くと、精神的な要因で投げられなくなり、「イップス」につながってしまうこともあります。
でも、外部コーチとして多くの選手を見てきて、僕はある共通点に気づきました。
不安の原因は、メンタルではなく「投げ方の基本」にあることがほとんどです。
「暴投が怖い」の正体は、ボール回転の不安定さ
送球が安定しない最大の原因は、ボールに正しい縦回転(バックスピン)がかかっていないこと。
実際の現場でよくある話
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練習では問題なく投げられる
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でも試合になると
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シュート回転
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スッポ抜け
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ワンバンが増える
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こういう選手に共通しているのが「指先がボールの芯を捉えられていない」という点です。
ボールが
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どこに行くか分からない
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毎回違う回転になる
だから脳が「危ない」「失敗するかも」と判断 体が固まる さらに暴投するこの悪循環に入ってしまいます。まず必要なのは「自分の指でボールを操れている感覚」を取り戻すこと。それが不安を消す一番の近道です。
【コーチ直伝】正しい回転を生む3つの基本
僕が送球に悩む選手に、必ず伝えているポイントはこの3つです。
① 「4シーム」で握る習慣をつける
基本中の基本ですが、意外とできていません。
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縫い目に対して指を直角にかける
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親指・人差し指・中指でしっかり挟む
4シームで握ることで
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指と縫い目に摩擦が生まれる
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縦回転が安定する
体験談
内野手の選手で「捕ってすぐ投げようとして、毎回握りがバラバラ」という子がいました。
捕球後に、 一瞬だけ4シームを作る意識を入れただけで送球ミスが激減しました。
② 人差し指と中指の「ハの字」を防ぐ
指が開きすぎると、ボールは左右にブレます。
目安はこれ
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指の間隔は「指1本分くらい」
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最後は
「2本の指で同時にボールを叩き切る」イメージ
現場あるある
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緊張すると指が無意識に開く
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強く投げようとして余計にバラつく
「強く」よりも「同時に離す」を意識するだけで回転が変わります。
③ 「肘」を支点にして、指先まで振り切る
手が震える選手に多いのがこのタイプ。
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肘が下がる
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手先だけで投げている
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ボールを「置きにいく」投げ方
改善ポイント
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肘を肩のラインまで上げる
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肘を支点にして腕を振る
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最後に
指先で縫い目を「切る」感覚
僕がよく言う言葉
「腕じゃなくて、最後は“指で投げろ”」
この一言で感覚が変わる選手、かなり多いです。
自宅でできる「感覚を取り戻す」超シンプルドリル
送球が怖くなっている時にいきなり距離を投げるのは逆効果。まずは「良い回転だけ」に集中する練習から始めましょう。
上向きスピン練習(超おすすめ)
やり方
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仰向けに寝転がる
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真上に向かってボールを約1m投げる
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縦回転で、真っ直ぐ手元に戻るかを確認
ポイント
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腕は振らない
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指先だけで「シュッ」と回転をかける
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回転が崩れたらやり直し
実際の効果
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「あ、今いい回転」
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「この指の感覚か」
この小さな成功体験が 投げる自信 恐怖心の軽減につながっていきます。
まとめ:技術が、メンタルを支えてくれる
送球が不安定になるとつい「メンタルが弱いからだ」と自分を責めてしまいがちです。でも違います。
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正しい握り
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正しい回転
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正しい肘と指の使い方
確かな技術があれば
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「この投げ方なら大丈夫」
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「ボールは指にかかっている」
そう思えるようになります。 メンタルは 技術の上に、自然と乗ってくるもの。まずは家の中で、ボールを“操る感覚”を取り戻すところから始めてみませんか?


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